この会社の人々の絵本に対する情熱や本気さが素晴らしい。
冊子を読むだけで感動してしまう。
『絵本のある子育て』No. 25より、代表の川端強さんのことばをいくつか抜粋させていただきました。
「絵本が魔法の力を持つには、なにより、質の高いものであることが必要です。絵本であればなんでもよい、というわけでは決してありません。(街には”良いものの装いをしたもの”があふれていますね。)
(中略)
では、すぐれた絵本とはどんな絵本のことでしょうか。それは、子どもに、どんな良いものをもたらすのでしょうか。
1. 美しいものへの感性
子どもは絵本を読んでもらいながら、いっしんに絵を見ています。絵本の絵は、子どもに見つめられるに足る美術であってほしい。
2. 言葉を育む
すぐれた絵本は、洗練された日本語によってつづられます。子どもは、未知の美しい日本語を、親の声で読まれる物語の楽しさにのせて、身につけていくのです。絵本を読んでもらっている子どもの言葉の発達が早く、表情も豊かなのは、そのためです。
言葉は、考え、思い、学び、伝えるための手だてです。言葉が豊かになることは考えや思いが豊かになることです。それは、人が人らしく生き、社会のなかで、人とかかわりを持って生きるうえで、とても大切なことです。」
・・・・・・・・・・
読んであげてください
「さて、子どもの心の成長に応じた、すぐれた絵本を手にしたとしても、それをそのまま子どもへ渡すのでは、せっかくの宝の箱は開きません。いつの世も、宝の箱を開くには特別な言葉が必要です。それは、絵本を読んであげる親(大人)の言葉です。
つまり、絵本とは、子どもが文字を読めるようになって自分で読む本ではなく、子どもに読んであげることで生命のかよう本です。
では”特別な言葉”によって開けられた箱に輝く宝のなかから、三つの宝を紹介しましょう。
1. 本と仲良しになる
本を読むということは、本の言葉を頭のなかで絵(イメージ)に描き、それを瞬間的に連続させていくことです。それなしには、人は本を読み進めることはできません。
(中略)
この「眼に見えないもの(絵)を見る力(想像力)」こそが、今、絵本を楽しみ、将来、自分で本を読むために必要な力です。その力は、絵本を読んでもらうことによって培われます。これは過保護でもなんでもありません。子どもが、絵本や本と仲良しになっていくためのしぜんな道すじなのです。
2. 生きることを語る
(中略)
親として語っておきたいと願うこと。それは、改めては口にしにくいけれど、人間として大切なことーーー愛し愛される、自分を見つめる、人間の洞察、正義と善、友情、一歩踏み出す勇気、やさしさ、ユーモア、悲しみや喜びへの共感、支え合って生きる、働くこと・・・
そうやって、彼らに、社会への道すじと人生への励ましを語ることができます。そして、もしかすると、このことが、子どもを育てるということの意味ではなのではないでしょうか。ここにこそ、絵本の最も大切な価値があると、私は考えています。
3. なにより、愛の表現です
子どもに絵本を読んであげることは、さらに大きな恵みをもたらします。それは、絵本を読んでもらうことは、自分へ向けられる直接の愛の表現だと、子ども自身が知っているということです。その時間は、子どもにとって文字どおり、身体も心も親に抱かれ、あまえも受け入れてもらい、丸ごとの愛を感じていられる時間です。
(中略)
今の子どもたちの苦しみの多くは、無償の、ただ温かく抱きとめられるだけの愛に満たされていないからだと、私は思います。親の気に入る”良い子”でいることで、その交換条件のようにして愛情が与えられる、と子どもが感じているのだとしたら・・・。ここにも、子どもや思春期の人たちによる、社会的な現象や事件の背景があるように思います。
さりげなく素朴に、絵本を読んであげる。ただ、それだけで、私たちは、子どもが切に望んでいるものを手渡すことができます。」
・・・・・・・・・・・・
長くなりましたが、読んでくださってありがとうございます。
こんなに絵本に対して真剣に向き合い、子どものことを考えてくれている会社があるなんて、感動しました。
この冊子と一緒にお借りした『紙結い』という会員誌も、
読み応えがあって素晴らしい。
ますます、子どもにいい本を読んであげたい気持ちが高まりました。
くじら文庫に置く本も、できれば「絵本なら何でもいい」ではなく、
質の高い本、芸術作品として見ることのできる美しい本を
揃えていけたらいいな、と思います。
引き続き、くじら文庫のことを、広めていただけますよう、
よろしくお願いいたします。
No comments:
Post a Comment